保釈

 保釈というのは、起訴されて被告人になった後、勾留されている場合に、身体拘束をとくための手続です。

 要するに、正式に裁判することになり、裁判が終わるまでの間、外に出るための手続です。

 保釈には権利保釈と裁量保釈があります。

 実際には裁量保釈が認められることが多いのです。

 裁量保釈というのは、その言葉のとおり、裁判所の裁量つまり判断で被告人を釈放する手続です。

 保釈が認められても直ちに釈放されるわけではありません。

 保釈保証金を納める必要があります。

 逃げたり証拠隠滅をしたらお金を没収するという脅しをつけて逃げたりしないようにするのです。

 保釈保証金がどこからも用意できない場合、保釈が認められても、釈放してもらえません。

 保釈保証金を立て替え払いする専門の業者も存在します。

 被疑者や被告人の方は、この業者のことを警察署等の口コミで聞いて知っていることが多いです。

 また、被告人の方は、保釈は絶対に一回では認められないという口コミが警察署・拘置所であるようでそれを信じている方も見られます。

 しかし実際はそんなことはなく、保釈が認められるときは一回目であっても認められます。



裁量保釈について

裁量保釈の考慮事情が刑事訴訟法改正により明文化されました。具体的には、

「身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮」

となっています。

従前から裁量保釈に関して記載をしていたことですので、実務に関して、特段大きな変更はないと思われます。

 

保釈の手続き・流れについて

 以下は横浜地方裁判所を前提です。

 身柄引受人に身柄引受書を書いてもらうなど必要書類を準備し、裁判所に保釈請求書を提出します。保釈請求書は一部で足ります。第一回公判前は、令状部に、第一回公判後は係属部に提出します。

 提出すると検察官に意見を求められ、必要があれば裁判官と面談等をします。検察官の意見は希望をすれば、閲覧することもできます。

 結論として、保釈が認められると裁判所から保釈保証金がいくらになりましたと連絡を受けます。

 そして、係属部等に、保釈許可決定書と保釈保証金を納めるための書類を取りに行きます。この際、いつ書類を取りに行くか、保釈保証金を納付するのは誰なのかを事前に連絡をしておいたほうがスムーズです。

 書類を受け取ったら、受け取った書類と保釈の決定書をもって横浜地裁の12階にある出納保証金係に行き、現金で保釈保証金を納めます。電子納付も可能ですが、受付に時間がかかることがあります。

 保釈保証金を納めたら保管金受領証書を係属部等に持っていきます。これで保釈の手続きは終了です。

 手続が終わると検察官が釈放指揮等を行い、数時間で釈放されます。

保釈 電子納付

 保釈保証金の納付も電子納付が可能です。電子納付用の書類をもらい、電子納付用の手続きを行った後、継続部に連絡することになります。

 納付予定時間を聞かれることもあります。電子納付の場合の方、納付の確認できる時間が遅くなることがあることがあるそうですが、実際に裁判所に書類をとりにいき、出納課に納めに行くよりは実際にかかる時間は短いと思います。

保釈支援協会利用の場合

 保釈保証金を立て替えくれるところがあります。複数存在するみたいです。弁護士によって、賛否両論があるところです。弁護士大滝和幸も推奨するわけではありません。

 何度か利用したことはありますが、裁判所が保釈を認めても、立替を受けられなかったこともあります。

 また、保釈保証金全額ではなく一部負担金等が必要になるようです。

保釈の時に使用する書類一例。

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身元引受書
保釈の際に提出する身元引受書です。
ご自由に使用していただいてかまいませんが、使用の結果等については、責任を負うことが出来ません。必ず、弁護人と相談の上ご使用ください。
身元引受書 書式.pdf
PDFファイル 112.8 KB
ダウンロード
自白事件について被告人に書いていただく誓約書です。
弁護士大滝が作成した被告人に書かせる誓約書の書式です。ご自由に使用していただいてかまいませんが、使用の結果等については、責任は負うことは出来ません。必ず、弁護人と相談の上ご使用ください。
誓約書 PDF.pdf
PDFファイル 122.1 KB