破産関係


早期面接について

 新人の弁護士くらいにしか役に立たないのかもしれませんが、横浜地方裁判所(本庁)での早期面接の手続的な流れについてご説明します。

 同時廃止を希望して破産申立すると早期面接が行われます。申立書にも希望日時を各欄があります。同時廃止を希望しても、早期面接を行わないまま管財事件にされることもあります。

 申立をすると裁判所から、連絡がきます。裁判所が破産申立書をみて、必要があると判断すれば、追加の資料の提出を要請されます。また早期面接の日程が調整されます。

 早期面接の日は、横浜地方裁判所の3階にある第3民事部の同時廃止係にいき、代理人の名前を書き、待合室で待つことになります。この際追加の資料を書記官の方に渡します。

 待合室で待っているとスピーカーで呼び出されて書記官室に来るよう言われます。書記官室の受付の少し奥にテーブルと椅子だけがあるスペースがあり、そこで裁判官と面接を行います。

 事件によりますが、少し裁判官から質問されて、問題なければ、破産開始決定を出すことが告げられます。

 そして債権者集会の日程を調整し、債権者集会の際に持って行く出頭カードを手渡されます。これで早期面接はおしまいです。


即日面接 東京地方裁判所の場合

 また、新人弁護士か、破産申立をしたことがない弁護士くらいにしか役立たないことですが東京地方裁判所の即日面接について、説明していきたいと思います。

 横浜地裁は、早期面接ですが、東京地裁は即日面接が可能です。その言葉のとおり、破産申立をした当日に裁判官との面接が行われるのです。毎日何時でもやっているわけではないので注意が必要です。

 裁判所に行き、申立を行うと即日面接を希望するか聞かれます。そこで希望しますというと待合室で待つように言われます。

 面接が始まると破産する理由について聞かれます。そして、裁判官から通帳の内容や家計簿の内容について確認されることが多いです。家計簿の内容に交際費や洋服代飲食代があり、その金額が多いと浪費があったのではないかと疑われることが多いです。

 ここで浪費があり、債権者から異議がだされたらどうするのか等と言われ管財事件にした方が良いのではないかと言われることが多いです。

 しかし、管財事件にしてしまうと最低20万円の引き継ぎ予納金が必要となりますので、事案を説明するなどして、不必要に管財事件にならないようにする必要があります。

 そして、管財事件にするか同時廃止にするか決まり、破産開始決定等がなされ、債権者集会の日程が決められます。

 横浜地裁では、裁判所に提出する封筒が市販のもので良いのですが、東京地裁の場合は、東京地裁指定の封筒を使うよういわれますので、即日面接の際に封筒に貼り付けるラベルを用意しておくと待ち時間に封筒を作って提出することができるので便利です。

 小さな話ですが、破産申立書は場合によっては疎明資料等もあるので、非常に量が多くなることがあります。そのようなときは、疎明資料を含めて大きなクリップでまとめて提出するのが良いようです。

破産による資格制限 

 まれに問題となるのが、破産によりいくつかの仕事につくことができなくなります。教師(公務員)だから破産できないなどと誤解している人もいましたが、破産しても多くの仕事は、そのまま問題なく続けることが可能です。まれに、問題となることがあるのは、警備員や保険募集人・代理店です。

 教師等はできないと思われている方もいますが、関係ありません。

 免責許可の効果は、確定の時点で発生します(破産法252条7項)。免責許可決定は、官報公告され、利害関係人から公告後2週間以内に即時抗告がないことにより確定します。通常、クレジット・サラ金等金融会社は即時抗告はだしていないようです。

 免責確定により、破産者は当然に復権し、破産者は、破産によって失った職業上の資格制限を回復できます。

 つまり、破産手続中だけ資格制限がかかるのであり、その手続が終わってしまえば警備員等の仕事に就くことができます。

 ものの本には、警備会社は官報等をチェックなどしていないので、そのままできてしまうこともあるとは書かれていますが、実際どうなるかは不明です。可能であれば破産手続がおわるまで警備会社の事務等をさせてもらうというのも一つの方法ではあります。 

 

破産を知られる

 破産したことを人に知られることを恐れて破産したくないという方は多いです。そのため、どのようなところで知られてしまうのか簡単に説明します。

 まず破産すると官報にのります。現在、官報は、一定期間であれば、インターネットで検索できるので、官報にのった直後に名前を検索すると破産者であることがわかってしまうことがあります。

 有料で検索サービスもあるので、サービスを利用していれば、時間が経っても破産したことがわかってしまうこともあります。

 また、破産をすると裁判所から債権者に通知が行きます。また連帯保証人にも通知が行きます。債権者や保証人への通知のため、宛先を書いて切手を貼った封筒を裁判所に出すことが求められます。

 なお、一定の債務に連帯債務者がいても連帯債務者には通知はしないようです。そのため、連帯債務者への封筒は横浜地裁では不要でした。

 さらに、管財事件となり財産の調査等が行われれば、そこで破産したことが知られてしまう可能性はあります。

 依頼があれば、事務所名が入った封筒を使わないなどの配慮は可能ですが、破産したことが知られるかどうかはケースバイケースということになります。

破産するのにお金が必要

 自己破産の相談をしているときに問題になったり、良く驚かれるのが、破産をするのにお金が必要になることがあるということです。

 破産を申し立てた際に、管財事件になることがあります。管財事件となると管財人への引き継ぎ予納金が必要になります。

 横浜地裁では、引き継ぎ予納金の最低額が20万円になっています。

 司法書士関与の場合は30万円。

 申立人本人による申立の場合は50万円です。

 お金がないから破産をするのに、お金が必要なんておかしいといわれることが多いですが、管財事件になってしまった場合は、準備して頂くしかありません。