判決に納得いかないとき

 思いもかけずに実刑判決を受けた。量刑が重いなどというときには、判決に控訴することができます。

 例えて説明すると、横浜地方裁判所で、有罪の判決を受けて納得できない場合、横浜地方裁判所に東京高等裁判所宛の控訴状をだすことになります。

 判決を受けた日を含めずに14日以内に提出する必要があります。

 

上訴権の放棄について

 判決は控訴をしないで放っておいて控訴期間を過ぎれば確定します。それを待たずに上訴権を放棄して早期に判決を確定することもできます。

 弁護人もだすことはできますが、被告人本人の書面での同意が必要になります。

弁護人はだせるのかなど疑問に思って裁判所に確認にいったところ、裁判書の職員の人も調べだしたので、出すことは多くないようです。

 弁護人がやると手続が煩雑になるので、被告人に提出してもらうのが一番早いです。

どこの刑務所か

 実刑判決が確定すると刑務所に収監されることになります。たまにどこの刑務所に入っているのか、親族等から聞かれることがあり、弁護人であれば知っているはすだと言われるのですが、弁護人にはどこの刑務所にはいっているのかなど全く連絡は来ません。私選でも国選でもこれは同様です。ですから、刑事裁判を担当した弁護士・弁護人に聞いてもわからないです。ネットでは弁護人に聞けばすぐ教えてくれると書いてありますが完全に嘘です。

 そもそも弁護人の仕事は基本的には、弁護することですから、裁判が終わった後に関与することはあまりないです。お礼の手紙等がくることなどはありますが、そのようなことがなければどこの刑務所にいるのかはわかりません。

 

仮釈放

 言い渡された刑期をすべて刑務所にいるとは限りません。仮釈放という制度があります。仮釈放が認められる前に身元引受人のところに保護観察所の人が会いに行くなどして状況が確認されます。

 仮釈放が認められると、2週間前に仮釈放の決定の通知等が送られてきて、誰か迎えにくるように指示され、誰が迎えにくるのか連絡するよう返信用の封筒等も送られます。

 当日は朝迎えに行くことになります。

 映画等のイメージでは、そのままお酒を飲んだりしそうですが、現実にはそれは難しいです。なぜならば、仮釈放の場合、自宅に帰る前に保護観察所に寄るよう指示されるからです。

一部執行猶予

 先日、担当した国選事件で初の一部執行猶予付の判決がありました。

 状況からして、実刑は確定だと思っていましたが、一部執行猶予の言い渡しでした。

 覚せい罪事犯で、更生の意欲を見せているということが、一部執行猶予を言い渡した理由の一つのようです。

 確かに、多少刑務所から、早くでれることはでられることにはなりますが、保護観察がつけられました。

 これまでは、実刑判決を受けて、刑務所から出所すれば、前科は残りますがきれいさっぱりの状態にはなります。

 しかし、一部執行猶予で出所すると、刑務所から出たとしても、保護観察処分が付くことになれば、いつ執行猶予が取り消されるか不安定な状態で、保護観察を受けるというある程度の負担が発生することになります。

 保護観察というある意味監督があり、さらに不安定な状態だから再犯を防止できるというのが制度趣旨なのでしょうが、単純な実刑と一部執行猶予とどちらが有利かというと人によるのでしょうね。

 有利不利で考えるべきことではないのですが、被告人の正当な利益を擁護するという弁護人の立場からすると、なんとも評価しにくい制度だと思います。