離婚調停と同時に申し立てることが多いのが婚姻費用請求の調停です。「こんぴ」と省略して言うことが多いです。
結婚している以上、夫婦間では生活を助ける義務がありますので、これに基づいて生活費を請求します。金額は、算定表がありますので、算定表から計算して請求することが多いですが、あくまでこれは、簡易迅速に算定する目的で作られたものなので、これ以上の金額等を請求することは可能です。
調停を申し立てて話がまとまらないと、特に手続をすることなく、審判に移行します。審判期日には主張書面や証拠を出して裁判所が金額を定めます。
通常、審判では、調停を申し立ててからの今までの分として●円払え、離婚に至るまで月●円支払えという結論がでます。
調停を申し立ててからの分しか認められないことが多いので、迷っていないですぐに申し立ててしまったが金額が多くなります。
婚姻費用の審判等が出た後、任意の支払いが受けられない場合、差押等の手続が必要となります。
その際には、審判書等の正本など色々書類が必要になります。
審判書等は、審判をした家庭裁判所に申請することになります。その際にも当然印紙が必要となります。
例えば、審判所正本であれば、一枚印紙150円で、謄本の枚数が増えればそれだけ印紙代が高くなります。
通常、審判書に正本であることの証明書がつきますので、決定書の枚数+1×150円分の印紙が必要になります。
他の確定証明書、送達証明書も一枚150円の印紙代が必要になります。
協議離婚や調停で離婚がまとまってもそれで全てが終わりにはなりません。意外と大変なのが離婚後の諸手続です。
調停等で離婚がまとまったとしても、それだけでは、戸籍に反映されません.
そのため、役所に離婚届けを提出する必要があります。
調停調書を提出すれば、離婚届けに相手方の署名押印はいりません。ご自分のところだけ書けば大丈夫です。
ちなみに、離婚届けは郵送で提出できます。役所によって違いがあるかもしれませんが、本籍地の役所に提出するのであれば、特に必要書類や返信用の封筒等は必要ないそうです。
役所の方に聞いたら、離婚届けの提出は郵送でできますが、到達日に受け付けたことになりますし、間違いがあったら訂正等が必要なのでということであまり歓迎はされない感じでした。
また、役所にある夜間等の受付窓口で夜間に提出することもできます。
この場合翌営業日の受付になります。
調停で離婚が成立した場合、10日以内の提出が必要となりますので、ご注意ください。
・離婚届けをどっちが出すか
離婚届けをどちらが出すかは和解条項の中で定めることなどもできます。どちらがだしてもかまわないですが、通常は、婚姻により相手方の戸籍に入った方の方が提出することが多いです。
これは、婚姻で戸籍に入った人は、離婚により、婚姻時に入った戸籍をでることになりますが、出た後に、どこに本籍地を置くか決める必要があるためです。
・婚氏続称
婚姻中使っていた姓をそのまま使い続けたい場合は、離婚届けとは別に婚氏続称の届け出が必要になります。
離婚した相手方の姓を使うことになりますが、相手方の了解など不要です。勝手に手続できます。
・子どもの戸籍について
例えば、ある女性Aが男性Bと結婚してBが戸籍の筆頭者になった場合、離婚してAが子どもの親権者となったとしても、子どもはBの戸籍に残ったままになります。このままだと不便ということであれば、家庭裁判所に子の氏の変更許可を申し立てて、子の氏の変更許可が認められた後に、役所に入籍届けを提出すると親権者である母Aの戸籍に入ることができます。
子供の住所地の家庭裁判所が管轄になります。収入印紙800円と予納郵券が必要になります。
一例として、東京家庭裁判所立川支部に子供一人の子の氏の変更許可を申し立てるのであれば、下記が必要となります。
・申立書
・戸籍謄本(離婚後の親権者と子供の分つまり別れた配偶者の戸籍)
・収入印紙800円
・予納郵券82円を3枚(切手代の変更がありましたので、直接ご確認お願いします。
子の氏の変更は、15歳を境にして子供がやるのか、親権者がするのかが変わります。
なお、子の氏の変更許可といいますが、結婚前の氏が同じ場合でも行う必要があります。
たとえば、私(大滝)が、たまたま同じ氏の大滝という人と結婚して離婚しても、子の氏の変更許可の手続をとることになります。
・入籍届の提出
上記、子の氏の変更を行った後、入籍届を提出して、子供の戸籍を変更することになりますが、本籍地か住所地の市町村役場に提出します。この際、本籍地以外の市町村役場に提出する場合、戸籍謄本が必要になります。
いろいろ手続をする必要があるので、離婚後の戸籍謄本は、複数とっておいた方がよいことになります。
先日親子関係不存在確認訴訟を担当いたしました。
母親がフィリピン国籍であったため、フィリピン家族法の調査も必要になった案件でした。
フィリピン家族法は、DNA鑑定等で親子関係が否定されれば、親子関係不存在が認められます。
しかし、日本法では、民法772条により推定が及んでしまうのではないかという案件です。
なお、同事案では、日本法及びフィリピン法両方で嫡出が否定されなければならない事案でした。判例がとっているとされる外観説からは推定が及ぶと判断されてもおかしくない事案でしたが、こちらの主張が全面的に認められ、民法772条の推定が否定され、親子関係が否定されるという望んだ結論を取得することができました。